2009年 07月 19日 ( 1 )

トムラウシ、美瑛岳の遭難

 北海道、トムラウシ山と美瑛岳で、夏山の遭難事故としては過去最悪の10名という死者が出た。まず最初に亡くなった方のご冥福を心からお祈りもうしあげます。今のところ情報が錯綜している感もあり、詳しい原因についてはこれからの検証を待たなければならないが、報道などから知りうる内容を踏まえて、備忘録の意味も含めて、自分なりに検証したい。

トムラウシ山について詳しく見てみると、


死亡者内訳(客)  男性1名 女性6名 平均年齢64.28歳
死亡者内訳(ガイド)男性1名        年齢61歳

生存者内訳(客)  男性4名 女性4名 平均年齢63.37歳
生存者内訳(ガイド)男性2名      平均年齢35歳

 ということで、客だけ見てみると、死亡したのはほとんどが女性。ツアー構成が元々男性5名女性10名だったので、その傾向は強いが、生存率を見ると、


男性生存率 80%
女性生存率 40%

となり、女性の生存率は男性の半分という数字が出ている。またツアー客の平均年齢を見ると、

ツアー客全体 63.8歳
死亡者    64.28歳
生存者    63.37歳

となり、生存者の方が若干、若いという傾向が出ている。しかし、年齢よりも男女差の方が結果に大きく影響している。


注1)ツアーにはもう一人ガイドが同行し、実際には19名のパーティーだったが、1名のガイドはヒサゴ沼避難小屋に留まったため、遭難時は18名のパーティーだった。この1名のガイドが何故そこに留まったのか?は今のところ良く分からない。

注2)ガイドの経験について、最初に歩行困難になって死亡した登山者に付き添って頂上付近に留まり、やはり死亡した広島の61歳のガイドについては、トムラウシの経験があったが、それ以外の2名はトムラウシの経験が無かったようだこの点は問題だと思う。

注3)また同じ避難小屋に泊まり無事下山した6名のパ-ティーがあったというが、これについての詳細も不明。


 一方、美瑛山の方は3人の客に対し3人のガイドがついていたが、やはり死亡事故をおこしている。


死亡者内訳(客)  男性0名 女性1名   年齢64歳

生存者内訳(客)  男性0名 女性2名 平均年齢58.50歳
生存者内訳(ガイド)男性3名        平均年齢31.00歳

ということで、3名の女性客の中の、最高齢64歳の方が亡くなっている。こういう分析は側面的でしかないとは思うが、ある傾向は示していると思う。

 -------------------------------

 また天気についてだが、この時期の北海道を15日から16日にかけて通過した低気圧は例年ではあり得ない規模だったという情報がある。「今年は7月10日、13日、15日と三回も低気圧が北海道を直撃しています。ざっと調べたところ、こんなことは少なくとも過去20年くらいはなかったことです」。

 今回の遭難のニュースを聞いて、僕は2006年10月の、白馬岳の遭難事故を思い出した。この日松本市内はさながら厳冬期のような気温低下があり、僕は予定していた山行を取りやめた記憶がある。北ア方面は雪の雲に覆われ、美ヶ原にも冠雪があった。「遭難事故が起きなければ良いが」と思っていたが、案の定事故は起きた。しかし、経験的に言って、あの時期にあれだけの気温低下は異常だった。もし前日入山していたら、行動中、情報が少ない中で自分は適切に対処できたか?少し自信が無い。だからこそだが、あれ以来、最近は天候に関して、どんな事でも起こりうるのだという覚悟を持つようになった。今回の北海道のケースもこれに似ていると僕は感じている。

 -------------------------------

 今回の事故の原因について、更に詳しい検証を待たなければならいいが、 トムラウシのケースが総勢19名と、定員30名のヒサゴ沼避難小屋を半分以上占領してしまうような大規模なものであったことは、色々な意味で問題を含んでいると考える。美瑛岳のケースでも死者を出していることを考え併せれば、荒天の中で日程を強行した時点でアウトであったと思うが、トムラウシが大人数パーティーであったことが被害の規模を大きくしたことは確実である。

 屋久島の高地山岳部でも時々、10名、あるいは20名を超えるという、信じられないような大規模パーティーを目撃することがある。ツアー登山を真っ向から否定はしないが、こうした大名行列的なツアー登山は、やはりどこかに歪みを抱えているのではないか?というのが僕の考えである。
[PR]

by se-ji0038 | 2009-07-19 05:36 | 新聞から