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共感した記事

シリアで取材中に亡くなった山本美香さんが学生たちに遺した「最期の講義」前編  「それでも私が戦争取材を続ける理由」

 この記事ですが、写真を撮る立場から色々考えさられました。

 命のやり取りがある現場と、自分の撮影の現場を平行に並べて考えるのは失礼かもしれませんが、共感できるところが沢山ありました。特に、ラストの学生4の質問に答えて、「私は取材したことを世の中に伝えていくことで自分の仕事を全うしています」と回答したところには強く共感します。
 
 僕自身は自然写真を撮ってそれを世の中に発表し、それを生活の糧としています。根っこのところには、見た人が幸せを感じる写真を撮って提供したい、その対価として報酬を得ているという思いがあります。しかし、そうして発表した写真を見た人から批判的な意見を貰うこともあります。

 しかし、僕は伝えてゆくことが仕事だと思っているので、伝えてゆくことで、自分の仕事をまっとうしたいと思っていました。山本さんが同じことを話されていて、強く共感したのです。

 また、"自分自身でリスクを負っていますから、ただ用意されたものに乗っかって、写真を撮って、帰ってきて、「ほら、大変でしょ」とやるつもりはまったくない。それなりのリスクをかけているので、それで帳消しにしてよ、という感じかな。"という部分にも強く共感しました。

 僕はこれまで色々なリスクを負って写真を撮ってきました。フリーの立場で、屋久島に住んで写真を撮って生活してゆくというのは、言葉で言うほど簡単なことでは無かったです。また1枚の写真を撮るために、膨大な時間を掛けてきました。イキナリ現地に行って、ハイ撮ってどうですか?という写真は少ない。とにかく愚直に現場に足を運び、時間を掛け、その一瞬に出合って切り取ってきたのです。

 ”扇情的な編集をしたり、全く違う場面の映像をはめ込んでいるのではありません。”という部分にも共感しました。僕が伝えていることも基本的にドキュメントです。演出された場面を撮っているのではありません。だからこそ、その一瞬に出合うために、膨大な時間を掛ける必要があったのです。そのことは自分自身が一番良く知っています。そうして写真を撮ってきたことが、僕の誇りでもあります。

 

by se-ji0038 | 2012-08-26 23:59 | 写真

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