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屋久島ブック2012

屋久島ブック2012_b0178335_543243.jpg 屋久島ブック2012が発売になって見本誌が届いた。昨年にひきつづき、表紙のほかに巻頭グラビアも担当しました。なんとういうか、少し感慨深いです。

 僕はもともとスタジオで商品などを撮るカメラマンとしてスタートしました。しかし地方都市で活動していたので、撮るものを選ぶことはできません。店舗の取材に行って料理を撮ったり、人物を撮ったりと、依頼を受ければ何でも撮っていました。それはそれで好きな撮影であったのですが、一方で、自分が撮りたい写真を自由に撮ってみたいという欲求も同時に抱えていました。

 屋久島へ移住した後、それが実現しました。毎日時間の許す限り、自分の好きな写真を自由に撮ることができるのです。しかしその一方で、その写真はまったく売れるアテの無い写真でもありました。予め依頼された写真であれば、その依頼に応えることで対価が約束されています。しかし、自分が自由に撮る写真にはそうした約束がありません。手持ち資金を切り崩しながら、ひたすら先行投資です。でも僕は幸せでした。人生において、とことん好きな写真に打ち込める期間というのは本当に貴重です。とにかくがむしゃらに撮りまくったのです。

 そうして撮り溜めた写真がこうして全国の書店に並ぶムック本の巻頭グラビアを飾ったのです。ほんの数年前まで、屋久島ブックというムック本を僕は憧れの目で眺めていました。いつか屋久島ブックの表紙を撮りたいな、と思いながら、それはどんな写真だろうか?と自問しながら、屋久島に立ち向かっていました。佐野元春さんの古いインタビュー記事に「TVで黒柳徹子さんの歌番組を見た後、TVを消して、僕は自分の歌を歌ってみるのだ。そうして、それが番組にふさわしいのかどうか?考えてみるんだ」という主旨のもがありました(かなり古い記憶ですが)。僕にとっての屋久島ブックは、ここでいう黒柳徹子さんの歌番組(つまりは、ザ・ベストテン)でした。。

 屋久島ブックの中で、僕は店舗取材もやっていますが、そうして取材に行ったある先でこんなことを言われました。「屋久島ブックに載るの、目標だったんです。」と。はい、だから、その気持ち僕も良く分かります。僕の書棚には、今年で9冊目の屋久島ブックが並びました。毎年本が出ると、擦り切れるまで読んでいましたから。

 いつしか自分が制作に係わるようになり、本の見方も変わりました。色々な意味で情報発信する側の責任も感じます(カメラマンはなかなかそこまで踏み込めないのですけどね)。でもいい編集者と出会って、少しは僕の考えも取り入れて貰えました。僕なりに、島に住んでいる人間として、その視点でお願いしたこともあります。意を汲んで、配慮してもらえたことには感謝です。

 そうそう、今回の本には、生粋の島っ娘が三人モデルとして登場します。僕も少しだけ、撮影させて貰いましたけど、やっぱり撮影はやり易かったですね。だって、カメラマンもモデルも知り合いなんだから。こうして、全国の書店に並ぶメジャー誌が、すこしでも島の側に寄り添って本づくりをしてくれたことは、ほんとうによかったなぁ~と僕は思ったりするのです。

by se-ji0038 | 2012-03-16 23:59 |

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