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今年の漢字

今年の漢字_b0178335_1124039.jpg 今年の世相を表す漢字が発表された。今年の漢字は「暑」。そんな話題を新聞で読みながら、自分自身の今年の漢字は何だったろう?と今年を振り返ってみた。出てきた漢字は「待」。今年はとにかく、色々なことを待ち続けた1年だった。

 屋久島移住後、毎年のことだが、いつも新年は山小屋で迎えている。 今年はたった一人で鹿之沢小屋に詰め、ひたすら天候の回復を待って撮影チャンスを狙っていた。そんな風に年が明け、春先には妻の妊娠が分かった。妻のつわりはとても重く、頼る人の少ない離島の地で、酷く体調を崩した妻を一人で自宅に残すわけにもいかず、だんだんと撮影に出ることも叶わなくなり、ひらすら妻の体に宿った小さな命を見守るだけの日が続いた。
  
 またその裏画面で、移住後撮影したカットを整理し、それを写真集にまとめるべく、企画書を作って出版の可能性を探り続けた。しかし、いま出版界は iPadに象徴される電子出版という黒船の到来を受け揺れていた。「もう5年早ければ」という台詞を何度も聞き、いまこの時代に紙の本を作るというチャレンジの難しさに何度も打ちのめされながら、それでもあきらめずに企画を出し続け、その度、回答をひたすら待ち続けた1年だった。

 また、9月21日に実施した、屋久島の空撮も、とにかくチャンスを待ち続けた。屋久島が島であるということをとても分かり易く明示的に表現したいと思って、どうしても屋久島全景の空撮を成功させたかった。その為に移住直後からどの時期にそれを実施したらベストか?観察し、考え続けていたのだが、いざ実施しようと思った今年、前年までの経験がまったく役に立たない不順な天候が続き、それでも諦めずにチャンスを待ち続けた。

 そんな風にして色々なことを、とにかく待ち続けた2010年だった。しかし、待った甲斐はあり、色々なことが成果として今年は残っている。空撮の成功をもって移住前にプランしていた撮影はほぼ完了した。先月妻は無事娘を出産してくれた。そして写真集も。
 
 実際、待ち続ける時間は苦しくもあったが、それは自分にたくさんの学びをもたらしてくれる熟成のときでもあったのだといま振り返っている。

by se-ji0038 | 2010-12-11 11:21 | 新聞から

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