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TV番組から

 最近放送されたTV番組から心に響いたこと幾つか。

 ロンドン五輪が終わり、NHKスペシャルのミラクルボディーで「ウサイン・ボルト」と「内村航平」二人の金メダルまでへの曲折を新たに取材してプロットに織り込み再放送していた。二人とも簡単に獲った金メダルではなかったのだ。

 ボルトは五輪代表選考会を兼ねたジャマイカ選手権で後輩のヨハン・ブレークに敗れている。これは北京五輪以来盛り上がった周囲の記録への期待に応えようと苦手とされるスタートを克服しようとしたことに原因がある。もともとボルトの強みは誰にも真似できない後半のトップスピードにあったのだが、スタート改善に取り組んだことにより、トップスピードを生み出していた太もものハムストリングスという筋肉を痛めつけてしまった。短所を克服しようとするあまり、長所を殺してしまったのだ。

 ボルトは選考会後全ての試合をキャンセルしてハムストリングスのケアに専念する。試合に出ないボルトをメディアは一斉にもうダメだと書き立てる。しかしボルトは自分を信じ、自分の走りを取り戻すことだけに専念して五輪の本番を迎える。「北京五輪のとき、スタートがどうとか、そんな難しいことを考えて走っていなかった。それがいつしか、記録へこだわるあまり、自分の走りを見失っていたのだ」と。

 五輪の決勝のとき、ボルトのスタートはダメだと言われた右足が大回りする癖がハッキリと出ていた。しかし勝った。五輪という舞台で勝って金メダルを獲ったのだ。試合後のインタビューでボルトは語った。「世界じゅうの人がボルトはもうダメだと言ったが、ただ一人、僕だけが僕の才能を信じ続けた」と。そうして自分の走りを取り戻して獲った金メダル。素晴らしいと思った。

 ロンドン五輪での内村航平のまさか!というミスは誰もが驚いた。試合後のインタビューに内村航平はこう答えていた。「四年に一度の五輪。勝ちたいという気持ちが前に出すぎてしまった」と。

 内村航平もまた、ボルトと同じように自らの「美しい体操」を取り戻す過程で金メダルに行き着く。「金メダルを獲ってみたから分かるのですが、五輪で金メダルを獲るのは、ほんとうに難しいことです」とインタビューで語っていのが印象的だった。

 プロフェッショナル仕事の流儀で「駅弁販売・営業所長・三浦由紀江」さんの回が放送された。全ての組織の管理職に見て貰いたいという内容。

 専業主婦だった44歳のときに初めて駅弁のパート従業員として働きに出る。店の売上げを急上昇させ、注目を集め正社員へ。そして大宮営業所の所長へ抜擢された。現在は9つの店舗を任され、100人を超える部下を統括し、売上げを伸ばしている。凄い、ほんとうに凄い!

 三浦さんの仕事の流儀は「自分だったらこうしてほしい」「現場が、一番わかっている」「現場だから、話せるとがある」「自分の仕事を誰かに振れ」など、「そうそう、そうなんだけど、それができない」だよということばかり。アタマで分かっていることと実践の間には100万光年の開きがあるのだが、これができるからこそ、カリスマと言われるのだろう。

 しかし、そんな三浦さんも今に至る過程で思い悩んだ曲折の時代が描かれていた。パートあがりで所長に抜擢され部下が誰もついて来ない。そんなとき三浦さんを救ったのがかつての上司の一言だった。「三浦さんの得意なことから初めてみたらよい」と。

 三浦さんは部下にアタマを下げ、苦手なパソコン仕事を代わって貰い、空いた時間で現場へ出た。そうやって自分らしく仕事する過程で売上げを伸ばし、部下の信頼を勝ち取って行ったのだ。三浦さんは振り返る。結局背伸びして自分を見失っていたのだと。


 大切なことは「自分らしく」。いずれの番組もそこを描いていたように感じた。 

by se-ji0038 | 2012-08-21 23:59 | 新聞から

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