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3月17日

 長野県松本市では、昨日まで4日間前面運休していた新宿と結ぶ特急あずさが7割程度運転を再開したというニュースがあった。この路線は山梨県を通過して東京へ向かう関係で、計画停電の時間帯に引っかかる便はやはり運休らしいが、それでもほとんどの便が再開したことで人の流れが戻って来た。

 またTVの報道から知ったが、東京と仙台を結ぶ高速バスも一部路線が再開したようだ。被災地はいずれにしても深刻な状態が続いているらしいが、周辺のインフラなど徐々に復旧している様子が伝えられている。

 しかし、しかしである。こうした動きに依然暗い影を落としているのが、福島原発の動向だ。伝えられている映像や解説の背景をどのように読み解くのか?はその人なりのメディアリテラシーを試されることになるのだが、ヘリで行った4回の水投下の作戦映像から、僕はいよいよ楽観視できないと感じた。北澤防衛大臣が記者会見で「現状を踏まえ、冷却作業を行うには17日が限度だ」語ったようだが、現場は相当緊迫しているものと想像する。

 また国内より海外の反応の方が敏感だ。特に電力の8割を原発に頼るフランスの動きが突出している。政府がエールフランスに日本脱出の臨時便を整えさせたり、首都圏のフランス人に関東から離れるように勧告しているらしい。またフランス当局は、福島原発の事故をレベル6と位置づけたと報道されている。レベル6は、'79年のスリーマイル島の事故の5(所外へのリスクを伴う事故)より上位で、「大事故」の扱いだ。ちなみに'86年のチェルノブイリ事故はレベル7で(深刻な事故)の扱いである。海外企業はその機能を東京から関西圏に移転しているとも聞く。

 またネット上にも様々な憶測や論評が乱れ飛ぶ。それは大手マスコミのものから個人のブログまで。傾向として現場から離れるほど、楽観的な論調になると感じた。そこにはやはりどこか対岸の火事という意識が透けて見える。これはある意味仕方ない。僕自身にしても、いまは地震や津波の被害よりも、自分自身に直接影響がありそうな原発の動向に、どうしても意識が向いてしまう。しかし、罪の意識は無いだろうが、個人のブログで、専門家ではないと前置きしながら、原発の事故についてあまりにも楽観的な論調でさもそれらしいことを書くのはいかがなものか?と思う。特にチェルノブイリの事故を引き合いに出して、「成り立ちが違うので、核爆発は起こりえない」と断言している人がいたがその根拠は?

 軽水炉型でレベル6の事故は人類が初めて直面した未曾有の大惨事である。今後の動向については誰もその推移を予想するなどできはしない。実際にいま、我々の経験の外の出来事が目の前で起こっているではないか。

 取り越し苦労であればそれはそれでよい。しかし個人が半可通の知識を振り回した結果、誰かの避難行動を遅らせ、結果として尊い命が失われることになったらどのように責任をとるのか!

 と、ここまで書いてみて思った。そもそもネットとはそういうものなのかもしれない。玉石混交、その中から自分にとって必要な情報を的確に拾い上げ、その背景を読み解き、自らのアクションに生かしてゆく。ネットも含めたあらゆるメディアから受け取る情報をどのよう読み解くのか?という能力が、この混迷の時代を生き抜く大切なスキルなのかもしれない。

by se-ji0038 | 2011-03-17 23:59 | 長野県の日々

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