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そう思われているんだ!

そう思われているんだ!_b0178335_5101254.jpg ある土産物店にポストカードの補充に立ち寄ったとき、二十歳くらいの女性が海を泳ぐ子ガメのカードを手にとって眺めていた。

 カードの補充をしながら彼女と言葉を交わすうち、彼女が発したある質問が僕を驚かせた。彼女はこう言った。「この子ガメは、ここの海に浮かべて撮ったのですか?」と。書き文字にしてしまうとうまく伝わらないが、そこには「人為的に」というニュアンスが含まれていた。

 彼女に悪気はまったく無い。思ったことをそのまま言葉にして質問しただけだ。彼女はウミガメに関する背景をまるで知らないし、その写真は出来すぎだったので、そのように思うのは仕方のないことだと思った。

 僕はウミガメが鹿児島県の条例で保護されていて、許可無く触れてはいけないこと。そういった条件のなかで、何日も何日も何日も浜に通ってこの一瞬に出合って撮影に成功したことなどを手短に説明した。

 彼女は僕の説明に半分納得しつつもこう続けた。「でも、誰も見ていなかったら分からないですよね」と。僕は少し答えに窮しながらも、次のように答えた。「確かに誰も見ていなかったら分からないかもしれないけど、でもね、お天道様はちゃんと見ていると思うんだ。そのときズルして何か撮ったとしても、もう次からチャンスをもらえなくなる。それと、誰も見ていないというけれど、自分自身は見ている。そんな風にしてズルして撮った写真を後で眺める度に心が痛むと思うんだ。僕はそういうのに耐えられないから、そういうことはしないようにしてるんですよ」と。

 彼女は今度こそ納得してくれたようで、ニッコリ微笑んでもう一度子ガメのカードをまじまじと見つめていた。

 しかし、と思う。「これは氷山の一角ではないのか?」と。「多くの人が彼女と同じようなことを思っているのではないだろうか?」と。

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 ウミガメに関しては、夜間に禁止されているストロボをぶつけて撮った写真を堂々とネットで発表している人もいる(素人目はごまかせても、見る人が見ればそんなのは一発で分かってしまう)。僕にはそういうことはできないので、一瞬のチャンスを狙い、膨大な時間を掛け撮影に望んでいる。しかし、それは事情の分からない人には伝わらない。それどころか、とんでもない誤解を与えている可能性があることを知った。

 今後、どのように"それ"を伝えてゆくのか?どう"伝える努力"ができるのか?課題が残った。

by se-ji0038 | 2010-08-18 06:11 | 写真

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