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EOS-1D Mark IV

EOS-1D Mark IV_b0178335_5555691.jpg 先日NikonからD3Sが発表になったばっかりですが、今度はCanonから凄いカメラが発表になりました。

 やはりこのカメラも拡張感度ISO102400を実現しています。うーん、デジタルカメラの世界は段々凄いところへ向かってゆきます。こうなると最早フイルムのカメラとはまったく別のものですね。

 僕は良くカメラのデジタル化をライカ版の出現に擬えて説明しています。カメラの歴史の中でもライカの出現は本当にエポックメイキングな出来事でした。ライカという機動力のあるカメラが生まれたことにより、例えばスティーグリッツやブレッソンとかキャパ、日本では木村伊兵衛など歴史に名前を残す写真家が出現しました。それは従来表現し得なかった撮影スタイルが、道具の進化により成し得られるようになったということなのです。

 キャパを例にとれば、それまでの戦争写真は遠方から大判のシートフイルムでランドスケープを撮影し、その一部をトリミングして使うという手法が一般的でした。しかしキャパはライカを持って果敢にも最前線に飛び込み突撃してゆく兵士を撮った。これは機動力のあるライカという道具の進化によって成し得ることができた新しい表現だったのです。
 
 カメラがデジタル化され、表現の上で一番進化した部分が高感度特性だと思います。ここが拡張されたことにより、従来写し得なかった場面を写真表現として切り取ることが可能になったのです。また、連射スピードも秒8コマあたりが限界とされていましたが、10あるいあは11コマに伸びています。これも従来の表現を超える可能性のある道具の進化です。

 歴史を振り返れば、ライカが出現した時にも従来からの撮影スタイルを支持する層からライカを酷評する意見が噴出しました。「写真表現として邪道だ」というのです。しかし、いち早く新しい道具を柔軟に使いこなした層が新しい表現を行い、その足場を固めて行ったのです。

 自分自身は長くフィルムで写真を撮ってきましたし、フィルムカメラにはその良さがあり、デジタルの表現とはまったく別のものだと思っています。しかし、折角歴史の大きな転換点に立ち会えたのだから、この幸運を積極的に生かして、新しい表現にチャレンジしてみたいという思いもあって、デジタル撮影を選択しています。人それぞれだとは思うのですが、未だにデジタルカメラについて懐疑的な意見を呈し、フィルムカメラだけにしがみつこうとする人を見ると、違和感を覚えます。単なる食わず嫌いではないか?と。

 あるいは、勉強不足のどちらかだと思います。デジタルは色の問題も含めて撮影者自身が処理してゆくことが求められます。僕の実感では、フィルムに比べてカメラマンが担当するワークフローは広範に渡り、勉強することも一気に増えます。そこがクリアできないので、デジタル撮影に対して懐疑的、あるいは否定的な意見を並べてデジタルカメラを使わないことの正当性を主張しているように見えます。

 いずれにせよ、フィルムもデジタルも写真表現という根っこは一緒なので両方体験して適材適所で使い分けするのがベストだというのが僕の考えです。

by se-ji0038 | 2009-10-21 06:30 | カメラ

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