大王杉の推定樹齢について

b0178335_6303530.jpg 木越邦彦先生からお手紙をいただいた。少し前になるが、僕が送った質問に対する答えを、封書で返してくれたものだ。

 木越先生は、1983年に林野庁の依頼を受けて、縄文杉から採取した木片の年代測定調査を実施された方だ。実はその時、大王杉についても調査がされている。僕はこの大王杉の推定樹齢について調べている過程で、学習院大学のWeb-siteに行き着き、当時の記録をみつけたのだが、その記録を読み解くうえで、幾つか疑問が生じたため、木越先生宛に質問を送っていたのだ。

 先生が既に大学を退官されていることは知っていたし、調査自体が四半世紀も前のことなので、送った質問の手紙が先生の手許に届くかどうか分からないと思っていた。「ご縁があれば繋がるさ」くらいの気持ちで送ったものだが、こうしてお返事をいただけたことに感激したし、感謝している。内容については私信でもあるのここではオープンにしないが、いずれ機会を見てどこかでアナウンスしてゆこうと思っている。

 また、大王杉の推定樹齢についてだが、いままで僕は「おおよそ3000年くらい」という立場をとってきた。しかし、大王杉について3400or3500年としている人が複数いて、その根拠を尋ねると、放射線炭素同位法の測定結果だという回答が返ってきた。そこで僕はそれについて調べたのだが、結果として木越先生の測定結果を根拠とするのなら、3400or3500年というのは間違いである。

 縄文杉及び大王杉の当時の測定結果については学習院大学のweb-siteから誰でも閲覧することができる。6.文書資料(PDF)からGAK10980近辺を閲覧ください。また、屋久杉自然館にも資料があります。

 また、僕が知りうる限り、大王杉に関して放射線炭素同位法での測定は、木越先生が依頼を受けたものが唯一である。他に事例があるようであれば、情報をお寄せください。可能な限り調べてみたいと思っています。

 追記:ある方から以前ネットの以下の記事を示されたことがある。

 木の寿命ってどのくらい?

 記事の中で「屋久杉の縄文杉や大王杉の樹齢は3,500~7,000年という説もありますが、最近の放射性炭素による年代測定によると縄文杉は2,500年、大王杉で3,500年といわれています」という記述がある。この記事の根拠について記事を書いたライターの古屋江美子さんにメールで問い合わせてみた。回答があり、ある農業系大学の先生を取材して書いたということだった。

 件の先生宛に、縄文杉2,500年、大王杉3,500年の根拠について問い合わせしてみたのだが、回答には「寿命の長い事例として、セコイヤおよび縄文杉についてメイルに記載いたしました。引用した書籍については失念しましたが、縄文杉で2500年、大王杉で3500年程度とありましたので(細かな数字は記憶にありません)、そのようにメモをお送りしました。本文では、対話形式になっておりますが、メイルでコメントをお送りしただけです。「およそ」という文字を記載しておけばと反省しております。」とのことだった。こちらで該当書籍を確認したいので、書籍名を教えてほしいと再度問い合わせを入れたが、それに対する回答は得られなかった。これ以上聞いてくれるな、ということだと理解している。だから、その先生の名誉のためにも、ここでは具体名の記述を控える。

 しかし、このように根拠の希薄なものが活字になって世の中に伝播し、それがいつしか定説になって根拠とされてゆくのには、違和感を覚える。

 また大王杉3,400or3,500年を唱えるある人は「初島住彦さんの目録で、林業試験場の林さんの研究での3400-500年というのがあったそうです」と言ってきた。しかし、僕が調べた限りにおいて、その記録は出てこない。どこかにあるのかもしれないが、「あったそうです」というあいまいな表現で、そのものを示さず根拠とするのには無理がある。これがまかり通るなら何だってアリだ。

 僕がなぜこの件にエネルギーを注ぐのか?理由はいろいろあるのだが、結果としていろいろ勉強になった。
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by se-ji0038 | 2009-09-24 06:29 | 日々

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