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新しい相棒

新しい相棒_b0178335_2085066.jpg 異動のため、先日島を離れた環境省の自然保護官O氏の乗っていたSEROW225ccを僕が引き継いだ。今年、島内の撮影を機動力を持ってやるために、バイクが欲しいと思って探し始めた時に彼の転勤が決まり、この話がスムーズにまとまったのだ。昨日までブライダル関係のお仕事に忙殺されていたため、本日ようやくマシンを引き取りに行ってきた。

 バイクに乗るのは何年振りだろう?18歳で中型免許を取り、HONDAのCLUBMAN250ccが最初のバイクだった。そのバイクを手放したのが22歳の時だから、以来20年近くバイクから離れていたことになる。

 SEROWにエンジンキーを差し込みスイッチをONする。グリーンのニュートラルランプを確認してセルを回す。キュルルというモーターの音が響き、喘ぐようなシングルエンジン独特のサウンドが周囲に鳴り響く。エンジンの暖気を終え、スタンドを跳ね上げ、シートに跨ってヘルメットのバイザーを下ろす。クラッチを握ってからギアを踏み込み、後方確認を終えてから、静かにクラッチを繋ぐ。SEROWは少しつんのめりながらもゆっくりスタートした。

 クラッチを握り、ギアを蹴り上げる。右手はアクセルを戻した後、クラッチミートに併せて再度アクセルを開ける。それを繰り返す度、SEROWが加速してゆく。6速まで蹴り上げ一気にアクセルを開いた。

 風になった。

 CLUBMANの頃は黒いSHOEIのフルヘイスのヘルメットを使っていた。今回は、名も無いメーカーのコルチナホワイトのジェットタイプのヘルメットだ。ハイザーの下から吹き込んだ風が顔にあたる。20年前、夢中で読んだ片岡義男の小説に、「フルフェイスのヘルメットは顔に風があたらないから嫌いだ。だからジェットタイプを使うのだ。」と書いてあった。そんなことを思い出しながら、カーブの曲率に併せてマシンをバンクさせてゆく。風景が、斜めに傾いて、後方に吹き飛んで行く。一瞬にして、20年のブランクが埋まった。

 記憶の中に、表参道の木漏れ日を後ろに投げ飛ばしながらアクセルを開いていた20代の自分がいた。あの頃の自分も写真が大好きだった。それはいまも変わらない。バイクの上で蘇った僕の一貫性がそこにあった。
 

by se-ji0038 | 2009-05-26 20:40 | 日々

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